2017.03.23up
 
北陵高校に限りませんが、今年は茅ヶ崎地区各高校の定期演奏会は、ホームグラウンドとも言える茅ヶ崎市民文化会館の改修工事のため使えず、会場がバラバラです。

それでもどうにか会場を見つけてきて、演奏会を開こうという熱意こそが「部活」の原点なのかとも思います。

定演は1年間の努力の成果をお客さんに聴いてもらう集大成ですし、やはりその機会を失いたくはないものでしょう。

思い起こすに、2011年は未曽有の震災により、ほぼ全ての学校の定演が開催不能となりました。

わずか6年前のことですが、もしかすると我々はあの時の痛みを忘れかけているのかもしれませんね。
(忘れることはけして悪いことばかりではないとは思いますが...)

茅ヶ崎地区の複数の高校が集まって、やはり藤沢市民会館で開催された「定期演奏会の代わりの演奏会」は感動的でした。

その中心を担っていたのが北陵高校であり、指揮の新倉徹也先生でした。

また、今回は茅ヶ崎市民文化開館の改修に伴い、藤沢清流高校との合同定期演奏会という趣向でした。
(個人的事情で北陵しか聴けませんでした...清流の皆さん、ごめんなさい)

お客さんもたくさんご来場のようで、本当によかったです。
 
  
  
左上から、サックス四重奏、ホルン四重奏、トロンボーン四重奏、木管三重奏、新倉徹也先生、土屋吉弘さん
 

 
=プチレポート=
 
印象に残った曲について

【ロマネスク】

全体については「肉も魚もボリュームたっぷりのメインディッシュが2つあるフルコース」という印象で、第一部の「宇宙の音楽」と第三部の「白鳥の湖」の二枚看板と言えるステージ構成でした。

で、こんなことを言うと叱られてしまうかもしれないのですが、管理人的にはメインディッシュに挟まれた“箸休め”的な存在であった第二部に最も心惹かれたのでした。

それというのも、特にジェームズ・スウェアリンジェン作曲の「ロマネスク」という楽曲が管理人のストライクゾーンに滅多にないくらいの強さで突き刺さったからでしょう。

気持ちが揺れて、泣けるような金管の弱奏にやられました。

勝手なイメージですが、木管楽器はいつも一緒にいる仲の良い友達であり、精神的波長が大きくズレたりしない安心感をもたらしてくれる。

金管は日ごろの距離はやや遠いのに、ある時グッとくるような言葉を少しだけ言うような...

部員の皆はどこまで意識していたのかわかりませんが、そういう感じが伝わる演奏でした。

【宇宙の音楽】

意表を突くウィンドマシーンによる出だしから、何者かがいきなり侵略してくるような展開にワクワクしました。

本日の演奏曲の中では最も絵画的である印象です。

途中静寂になって、木管が全体を引っ張っていくところもきっと技術的には難しいのでしょうが、きっちりやりこんでいる感がありました。

これ、たぶん通常の高校吹奏楽部定演なら完全にメイン楽曲ですよね...。

【白鳥の湖】


45分という、ある意味で演奏者と聴衆の心をへし折る長さですので、この曲を冗漫にならず、ちゃんと演奏し、聴いてもらうのには、演奏する側と聴く側の双方の緊張感が不可欠となります。

ですから、一大チャレンジだと言えましょう。

「白鳥の湖」がどういうプロセスを経て定演のプログラムとなったのか、詳しいことはもちろんわかりませんが、やろうと言い出した人がいて、同意した人たちがいたはずです。

全体のストーリーを把握し、同じレベルで同じ絵を思い浮かべつつ演奏する必要があるのを承知で向かっていったのだと思います。

それは素晴らしい心意気ですね。

管理人は演奏された場面の中では「ナポリの踊り」 がお気に入りです。

途中、テンポが変わって、激しい中にも気品のようなものが感じられました。

そして「終曲」は圧巻でした。

テーマ部分が次々に展開されて、大団円に向かう様は部員たちも最後の力を振り絞っているのだろうと思って聴いていました。
 

 
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プログラム
 
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  第1部

   ・スティーヴン・ライニキー:セドナ

   ・フィリップ・スパーク:宇宙の音楽 (timp:土屋吉弘)

  第2部

   ・ロベール・プランケット/フランソワ・ラウスキ:サンブル・エ・ミューズ連隊行進曲

   ・ジェームズ・スウェアリンジェン:ロマネスク

   ・保科洋:風紋 (指揮:土屋吉弘)

  第3部

   ・ピョートル・チャイコフスキー/淀彰:白鳥の湖 より

  アンコール

   ・ヨハン・シュトラウス/ロジャー・ニース:ハンガリー万歳

  藤沢清流高校吹奏楽部との合同演奏

   ・喜多郎/藤田玄播:シルクロードのテーマ

   ・アルフレッド・リード:吹奏楽のための第5組曲 より ホラ
 

 
素晴らしい演奏会をありがとうございました。

お疲れさまでした。

2017年の活動にも期待していますね。